最近、50代以上の人を対象のセカンドキャリアを考えるための面談をしてほしい、という依頼が増えてきました。人生100年時代と言われるようになり、65歳定年まで勤めあげたとしても残りは35年あります。この長い時間をどう生きるのか、これかは誰にとっても大きな課題となっています。
その残りの時間はたっぷりあるのに、50歳を過ぎると新しいことを避ける傾向があります。進化するITスキルについて行くのをあきらめ始めるばかりか、ここ最近急速に普及したテレワークやオンライン会議にも消極的な方が多いです。理由を聞いてみると「もう頭がついて行かない」「覚えられない」と、年齢による記憶力や順応力の低下を訴えるのです。また、今の会社に不満があっても「どうせこんな歳から雇ってくれる会社はない」と我慢してかたくなに転職を拒否する人も少なくありません。
先日、とある企業で定年後再雇用で働き続けている72歳の女性の面談をしました。その方は50代でPCスキルを習得し、その数年後にCADが扱えるようになったそうです。スマートフォンの操作もお手の物で、今度はパートタイマーの教育研修の場でプレゼンテーションができるようにとパワーポイントと格闘中です。私は51歳ですが、その女性のようには今からそこまで頑張れないかもと言うと「年を取ったからできないと言うなら、お金を払って習いに行けばよい、あなたもこれからよ」と微笑まれ、衝撃を受けました。そういえば、私が一昨年に通信制の大学に在籍していた時も、卒業式の成績優秀者の表彰では60代以上の学生が多くを占め、総代はなんと71歳の男性でした。50を過ぎたら無理、という人が多い一方でどんどん新しい知識を身に着けている方もいるのです。
転職についても、職業訓練校で50代、60代の受講生は増加の傾向にあり、みな熱心に勉強しています。未経験の職種で正社員の内定を勝ち取った62歳の方もいらっしゃいました。顧客に高齢者が多い、人生経験豊かな人に臨機応変な対応をしてもらいたい、という50代以上OKの求人は思った以上にあります。高額商品を扱う店舗などは若い人よりも貫禄のある年代の人が望ましい、という声も聞きます。歳をとったから雇ってくれない、ではなく歳をとったから雇ってくれる、という場合もあるのです。
新卒から30代ぐらいまでは親の意向や周囲の目が気になり、安定優先で仕事を選ぶこともあったでしょう。でも今時間もお金も多少は余裕があるので多少の冒険も可能なのです。セカンドキャリアこそ、本当に自分の人生を自分の好きなように生きられるチャンスです。
「働くことに終わりなし」先述の72歳女性の発言です。年齢のせいでできない、は言い訳です。せっかくなので今までできなかったことにチャレンジしてみませんか。